Q タイメックスは本来、ブランドのデザイナーがヴィンテージタイメックスを復刻したり、歴史的なモデルをもとに新たなオマージュを生み出したりする、いわば歴史を自由に行き来できる創作の場としての役割を果たす。今回タイメックスは、昨年発表したネイビーブルーダイヤルのQ タイメックス リイシュー 1975 エニグマの続編として、新たなカラーバリエーションを披露した。
1975年のオリジナルモデルがミステリーダイヤルの再現を試みたのと同様に、本作では風防中央にひとつの大きなドットが描かれており、その色はダイヤルカラーに合わせて調整されている。このドットが、時・分・秒針のセンターポストを巧みに隠す構造だ。理想的な光のもとで正しい角度(基本的には真上)からのぞいたとき、ハイライトされた針先がダイヤル上を浮遊しているかのように見える。
ステンレススティール製の37mm径クッションケースは、上面は全体にポリッシュ仕上げ、側面と裏面にはヘアライン仕上げが施されている。ダイヤルにはブラックのデイト表示窓とコントラストの効いた外周のミニッツトラックを備え、それ以外は針が浮かんで見える視覚効果を保つために何も配置せず、意図的に余白を残したシンプルな構成となっている。秒針のドット部分にはライトブルーの夜光塗料が充填されており、ダイヤル上を駆け抜けるたび浮遊感をいっそう引き立てている。
ケース上部には厚みのあるドーム型アクリル風防が取り付けられており、全体のケース高12.7mm(自身のノギスで計測)に大きく影響している。ただしラグ・トゥ・ラグはコンパクトな42mmに抑えられており、ほとんどの手首にフィットする設計だ。ストラップは複数のバリエーションが用意されており、スティール製ブレスレット、ヴィーガンレザー、引き通しタイプのファブリックストラップから選択可能。なお、レザーストラップ仕様のモデルは、価格を209ドル(日本円で約3万円)に設定されている。
我々の考え
エニグマをミステリーダイヤルと呼ぶのは、少し無理があるかもしれない。というのも、1975年のオリジナル登場以降、透明なディスクを用いるというこのコンセプトによって、これまでに完成度の高い個体を数多く誕生させてきたからだ(タイメックスですらスヌーピー テニスウォッチでその一例を見せている)。今回に限ってはタイメックスがオリジナルのデザインにさらに手を加え、針の代わりにアクリル製のディスクを採用していれば、クォーツの価格で本格的なミステリーダイヤルを実現できたかもしれないと思わずにはいられなかった。
Timex Enigma 1975 Black Wristshot
ただ200ドルという価格帯において、エニグマは依然としてユニークな選択肢をコレクションに加える存在であり続けている。バランスの取れたプロポーション、興味深い表現方法、そして何よりも、全体の印象を統括する1970年代のスペースエイジ的なインスピレーションは健在である。
基本情報
ブランド: タイメックス(Timex)
モデル名: キュータイメックス 1975 エニグマ リイシュー(Q Timex 1975 Enigma Reissue)
型番: TW2Y34500 (ブラック)
直径: 37mm
厚み: 12.7mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: ブラック
インデックス: プリント
夜光: あり
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ブレスレット、ヴィーガンレザー、ファブリックストラップを選択肢として用意
ムーブメント情報
キャリバー: クォーツ
機能: 時・分・秒表示、デイデイト表示
価格&発売時期
価格: ヴィーガンレザーまたはファブリックストラップのものは、209ドル(日本円で約3万円)